ポン助の春

映画題名 ポン助の春
映画題名ヨミ ポンスケノハル
英語題名 Spring Comes to Ponsuke
製作年月日 1934年
作家名 大石郁雄
時間(分) 7
サウンド トーキー
カラーの種類 白黒
ストーリー 雪の降り積もる竹藪の中、蓑笠を着けた小タヌキのポン助が、たけのこを掘っている。上から雪のかたまりが落ちてきて倒れたポン助を見て、木の上のカラスの親子が笑う。怒ったポン助は猟銃で狙い、カラスの親子は飛んで逃げるが、発砲後に子どものカラスが落下。ポン助はカラスの毛をむしって持ち帰り、父さんタヌキを喜ばせようと考える。しかし、毛をむしり終ると、小カラスは肉付きがなく褌をはいたやせっぽちなので、ポン助はガッカリし放り投げる。すると子カラスはくしゃみをして息を吹き返し、むしられた毛をコートのように来て、「軍隊行進曲」に合わせ、去って行く。その時、雪が落ちてきて、ポン助は夢でも見ていたように我にかえる。雪を掘り進めたポン助は、やっと大きなたけのこを掘り出す。大喜びで持って帰るポン助を見て、竹藪の竹は悲しみの涙を流す。食べるものが乏しい冬、タヌキの家のネズミもやせ細っている。そこへ、大きなたけのこを持ってポン助が帰っ来る。待っていた父さんタヌキは、ポン助を抱き上げて喜ぶ。親子でたけのこの皮をむくと、残ったのはとても小さなたけのこ。むかれた皮は大きなたけのこに再生し、小さなたけのこを連れて吹雪の戸外に逃げ出す。家に吹き込んだ吹雪でタヌキの親子は雪だるまになる。逃げるたけのこ親子を雪だるまのタヌキの親子が追いかける。走り続けるといつしか、冬から春になる。春の花が咲き乱れ、走りつかれたところで、雪だるまも溶ける。ミツバチは一杯の蜂蜜をタヌキとたけのこの親子のもとに届ける。それを喜び、タヌキの親子はたけのこの親子と仲直りの握手をする。ミツバチや花も「春が来た」の曲に合わせて歌い踊るなか、タヌキとたけのこの親子も楽しそうに踊る。最後に、キューバのスタンダード・ナンバー「南京豆売り」にのってポン助がシルクハットをとり、終りの挨拶をする。
作品解説 P.C.L.映画製作所に新設された漫画部の主任として大石郁雄が監督した『動絵狐狸達引(うごきえこりのたてひき)』(1933)に続き発表した第2作。タヌキの親子とキツネの化かし合いを描いた『動絵狐狸達引』に引き続き、ポン助親子が登場。ポン助は前作同様のわんぱく振りを発揮する。現存プリントには冒頭のタイトルやクレジット、最後のエンドマークが欠落しているが、内務省映画検閲時報の長さによると206m、8分なので、本篇部分はほぼ全て残っているものと考えられる。続いて作られたP.C.L.漫画の第3作は『カチカチ山』(1934)なので、3作ともタヌキがメイン・キャラクターとなっている。戦後、東宝教育映画により『ポン助の腕くらべ』(1951)が作られたが、これは『カチカチ山』を大石の弟子にあたる若林敏郎が改題、再編集したものである。
なお、トーキー作品のオンライン公開にあたっては、使用されている既成曲の著作権処理が必要であり、そのためにはまず、個々の楽曲のタイトルを明らかにしなければならない。本作品は、音楽評論家・毛利眞人氏の調査により、童謡「雪やこんこ」、シューベルト作曲「軍隊行進曲」、童謡「おもちゃのマーチ」、「靴が鳴る」、「春が来た」、モイセス・シモン作曲「南京豆売り」とすべての使用楽曲のタイトルが判明し、それらがパブリックドメインであることを確認できたため、公開可能となった。前作『動絵狐狸達引』が邦楽を編曲した伴奏音楽(音楽は杉井幸一)であったのに対して、この作品は童謡などがジャズ編曲されており、紙恭輔が音楽部長を務めたP.C.L.管弦楽団の演奏と推定される。
製作会社 P.C.L.漫画部*
配給会社 東和商事映画部*
配給年月日 1934年6月29日
クレジット 監督 大石郁雄*
クレジット スタッフ、キャスト等
字幕採録
検閲番号等 [参考]内務省検閲番号:I9591(1934年8月1日)
参考文献
フィルム映写速度 24fps
フィルム履歴 (画)プラネット映画資料図書館所蔵16mmポジ→NFC所蔵35mmインターネガ作製+(音)プラネット映画資料図書館所蔵16mmポジ→NFC所蔵35mmオリジナルサウンドネガ(ノイズリダクションあり)→35㎜ポジ作製
フィルム完全度 メインタイトル欠
クレジット欠
途中から
エンドタイトル欠
備考 作品情報等の*印は文献等による補足
参考リンク