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第17回日本映画祭ニッポン・コネクション
「日本アニメーション生誕100年記念展示」上映レポート

掲載日:2017/09/21

ニッポン・コネクション プログラマー早川めぐみ

eventphoto

 今年で17回目となる日本映画祭「ニッポン・コネクション」が、2017年5月23日~28日にドイツのフランクフルトで開催されました。この映画祭は、毎年新作を中心に約100本の日本映画を上映する、現在世界最大の日本映画祭です。会期中はメインストリーム作品のみならず、自主制作映画や実験映画、あるいは日本映画史上の重要作品など、幅広い時代・ジャンルの日本映画が上映されます。同時に、日本文化を紹介するワークショップや講演会、コンサートも行われるため、映画ファンや映画関係者はもちろんのこと、日本文化に関心のある人たちが会場に集まります。約1万6千人に上る来場者の大半がドイツ人である同映画祭は、フランクフルトという外国都市で、日本文化を体験しながら日本映画を集中的に観ることができる希有な文化イベントとなっています。
 アニメ映画に関しては、独自のセクションを設けて毎年優れたアニメ作品を紹介していますが、海外での「ジャパニーズ・アニメ」への関心の高さを裏付けるように、当映画祭でもアニメ映画の上映は毎年非常に高い人気を誇っています。特に2017年は、日本における「アニメーション生誕100周年」という記念の年にあたるため、現代の作品だけではなく、「日本アニメーション映画クラシックス」で紹介されている優れた初期アニメーション映画を上映し、日本のアニメ製作の長い歴史とその業績を伝えることを目指しました。そのため一人でも多くの人に、会期中何度も観てもらえることを優先し、有料の劇場上映ではなく、会場内オープンスペースの、毎年ビデオアートを紹介する空間での「展示上映」という形をとりました。非営利組織が運営する映画祭としての限られた予算と、ループ上映という形式を考慮し、作品本数は短めの尺のものを合わせ、合計30分程度の4本としました。少ない作品数でも、多様なジャンルやアニメ技法を、幅広い年齢層にアピールできることを意識し、系統の異なるもの、かつ日本文学などの知識がなくても楽しめるものとして、次の4作品を選びました。

村田安司『ニヤゴダンス』(1932年)
荻野茂二『百年後の或る日』(1933年)
大藤信郎『煙り草物語』(1926年)
瀬尾光世『アリチャン』(1941年)

 上映を行った会場2階のオープンスペースは、休憩時やイベントの待ち時間には特に来場者で賑い、狙い通り多くの人の注目を集める事ができ、立ち止まって熱心に見る人たちや、休憩中にアニメに気がついて喜ぶ子どもたちの姿が印象的でした。観客の中には、今なお通じる「新鮮さ」、「真新しさ」や「遊び心」に魅力を感じた方が多かったようです。また、アナーキーともいえるような自由な発想の作品に、アニメ=子ども向けというイメージを覆す驚きがあったようです。この日本映画祭での上映展示を通じて、日本アニメーションの歴史の深さ、その多様な魅力を少なからず伝えられたのではないかと思います。