のらくろ二等兵 教練の卷
のらくろ二等兵 演習の卷

映画題名 のらくろ二等兵 教練の卷
のらくろ二等兵 演習の卷
映画題名ヨミ ノラクロニトウヘイキョウレンノマキ / ノラクロニトウヘイエンシュウノマキ
英語題名 Private Norakuro in Boot Camp / Private Norakuro in Training
製作年月日 1933年
作家名 村田安司
時間(分) 14
サウンド サイレント
カラーの種類 白黒
ストーリー 野良犬の黒吉、略して「のらくろ」は、軍隊に入り、新兵となる。掃除当番ののらくろは第五中隊長室の前で鍵穴から中を覗き、中隊長が不在であることを確認して中に入り、中隊長のサーベルを下げて、大尉気取りで煙草を吹かす。その時、集合ラッパが鳴り、のらくろは慌てて部屋を飛び出すと、本物の中隊長と鉢合わせ。中隊長はのらくろの腰のサーベルに目を止め、注意しようとするが、のらくろがすれ違いざま、中隊長の腰にサーベルを戻す。集合した一つ星の二等兵たちに向かって、中隊長が号令をかける。「右向け右を」を間違えたのらくろは、中隊長に叱られるが、のらくろを先頭に白犬3匹が行進を始める。連隊長が中隊長を呼び止め、来週、第六中隊との対抗演習に新兵も参加させることを伝える。のらくろたちが行進を続けると、鉄棒に行き当たり、曲がると命令にそむくので、鉄棒を登り、今度は馬小屋にも突き進む。先頭ののらくろが馬に蹴られて負傷すると中隊長は叱りながらもいたわりの言葉をかける。演習当日、白い腹巻をした白軍ののらくろは、行軍にばてて置き去りにされる。それを黒軍の2匹の斥候が見つけ、捕虜にしようとする。水筒の水を飲んで元気を取り戻したのらくろは、逆にカラスの落とした糞を蹴って斥候の顔に当て、大石の周りの追っかけっこをやり過ごし、走って逃げて、トラックの荷台にあった木箱に斥候を閉じ込める。トラックに乗り走り出したのらくろは、スピードの出し過ぎで、崖から墜落。落ちるところを飛んできたワシに救われる。ワシの背に乗り上空から戦車を見つけたのらくろは、手柄をたてようとワシの協力をあおぎ、落し穴を掘る。そして、落し穴に落ちた戦車からは連隊長が出てきて、のらくろは大目玉をくらう。
作品解説 横浜シネマ商会が製作した教育映画シリーズ「アテナ・ライブラリー」第69編(クレジット上は「第67篇」とあるが、『映像文化の担い手として 佐伯永輔「ヨコシネ」の歩んだ70年』ヨコシネディーアイエー、1995年の「アテナ・ライブラリー作品一覧」92頁によると第69編とあり、のちに通し番号が変更されたと思われる)。田河水泡が雑誌『少年倶楽部』(大日本雄弁会講談社発行)1931年1月号から連載を開始した漫画「のらくろ」シリーズの最初のアニメーション作品。連載時の題名は「のらくろ二等卒」で単行本『漫画常設館』(大日本雄弁会講談社、1931年)に収録された際に「のらくろ二等兵」と改題された。野良犬の黒吉、のらくろが入隊し、二等兵から最終的には大尉にまで昇進するが、連載は1941年8月号で終了した。このアニメーション第1作では、元気はいいが調子に乗り過ぎて失敗する初年兵ののらくろをコミカルに描き、厳しいが人情味のあるモール中隊長や、いかめしいブル連隊長ら、主要なキャラクターも登場している。なお、冒頭に出る「日本赤十字社埼玉縣支部」のタイトルは、このプリントが当該施設で巡回された際に付けられたもの。
製作会社 横濱シネマ商会
配給会社 35mm版:岡本洋行(関東)*、奥商会(関西)*
配給年月日 1933年6月
クレジット 監督 漫画 演出:村田安司
クレジット スタッフ、キャスト等 原作:田河水泡 脚色:青地忠三
字幕採録 T1「日本赤十字社埼玉縣支部」、T2「YOKOHAMA CINEMA アテナ・ライブラリー 第六十七篇/製作 横濱シネマ商会」、T3「のらくろ二等兵」、T4「原作 田河水泡/脚色 青地忠三/漫画 演出 村田安司」、T5「私は本名野良犬(のらいぬ)の黒吉(くろきち) 畧(りゃく)して『のらくろ』と申します。此度宿(やど)なしの身分(みぶん)から、出世して軍人になりました。実(じつ)に嬉(うれ)しいであります。」、T6「これから私の軍隊生活(ぐんたいせいかつ)をお目にかけます。何しろまだ新兵(しんぺい)でありますから、失敗(しっぱい)が多いであります。」、T7「のらくろ二等兵 教練(きょうれん)の卷(まき)」、T8「我輩(わがはい)は第五中隊長 のらくろ大尉(たいい)であるんである。」、T9「タイイしたもんだね」、T10「何だ その風(ふう)は?」、T11「ハイ、只今集(あつま)れのラッパであります。」、T12「上官(じやうくわん)の命令(めいれい)には 何でもよく服從(ふくじゆう)せねばならんぞ。わかったか、わかったら手をあげろ。」、T13「わかりましたッ」、T14「右向(む)け――右ッ」、T15「また間違(まちが)へたッ。」、T16「前へ――進めッ。」、T17「おーい、第五中隊長」、T18「新兵(しんぺい)の教育(きょういく)は 骨(ほね)が折(を)れるだらう。」、T19「ハア、何(なに)から何まで世話(せわ)がやけます。」、T20「第六中隊との對抗演習(たいこうえんしゅう) を来週(らいしゅう)行ふから新兵も参加(さんか)させるやうに」、T21「承知(しやうち)しました。充分(じうぶん)よく訓練(くんれん)いたします。」、T22「どうしやうか?」、T23「曲(まが)ると命令(めいれい)に叛(そむ)くぞ。まっすぐに登(のぼ)れ。」、T24「おい、今度はちと手強(てごは)いぞ!」、T25「止むを得(え)ん。進(すゝ)め進め。」、T26「命令(めいれい)を守(まも)ったのは感心(かんしん)だが、時(とき)には頭(あたま)を働(はたら)かさにゃいかん。」、T27「わかりましたッ」、T28「痛くはないか。」、T29「何ともないであります」、T30「のらくろ二等兵 演習(えんしゅう)の卷(まき)」、T31「十里や二十里あるいて、へこたれる奴があるかい。」、T32「だめだ、もう歩(ある)けない。」、T33「意氣地(いくぢ)なしは おいてけぼりだ。」、T34「あゝ、やっと生(い)き返(かへ)った。」、T35「白軍(はくぐん)の落伍兵(らくごへい)らしいぜ」、T36「捕虜(ほりょ)にしてやらう。」、T37「これや有難(ありがた)い 乘心地(のりごこち)がいゝなァ。」、T38「黒軍(こくぐん)のタンクに違ひない―― 一つ手柄(てがら)をしてやらう」、T39「来たぞ来たぞ。」、T40「聯隊長を陷穴(おとしあな)に入れて どうするんだッ。」、T41「敵(てき)のタンクだと思ったのであります。」、T42「間抜な奴(やつ)だ!」、T43「のらくろ二等兵 終」。
検閲番号等 内務省検閲番号:H13736(1933年12月15日)
参考文献 ・「新作紹介 のらくろ二等兵」『活映』1933年8月号・第66輯、51頁。
フィルム映写速度 20fps
フィルム履歴 桑野商会寄贈35mmナイトレートポジ→NFC所蔵35mmインターネガ作製
フィルム完全度 完全
備考
参考リンク