漫画 空の桃太郎

映画題名 漫画 空の桃太郎
映画題名ヨミ マンガソラノモモタロウ
英語題名 Momotaro in the Sky
製作年月日 1931年
作家名 村田安司
時間(分) 13
サウンド サイレント
カラーの種類 白黒
ストーリー 南極に近い島からやって来たペンギンとアホウドリが、桃太郎に対し、突如出現した荒鷲による惨状を訴える。了解した桃太郎は荒鷲退治を約束する。しかし、1万キロも離れている島に行くには、途中で2回のガソリン補給が必要だと言う。ペンギンはそのことも用意していると答える。桃太郎号を整備するキジとサル。キジはサルに、鬼ヶ島以来の遠征だと言う。桃太郎は、お爺さんとお婆さんから武運長久の御守をもらい、イヌとサルとキジを連れ、出陣。臼も万歳で見送る。富士山を眼下に大洋に向かう桃太郎号。第一ガソリン補給所では、カメの上にアホウドリが乗り、ガソリン缶を用意して待っている。桃太郎号からサルがぶら下がりガソリン缶を引き取る。第二ガソリン補給所では、クジラの上にペンギンが乗り、準備している。お腹が空いて沈みそうになるクジラをペンギンがなだめていると、荒鷲の攻撃に遭う。海中に沈んだクジラが浮上すると、桃太郎号が現われ、クジラは潮を噴いて3缶のガソリンを投げ上げる。南極に近い島では、荒鷲がアザラシを痛めつけている。荒鷲を見つけた桃太郎号から、イヌが機銃を撃つ。空中戦の末、サルが投げ縄を使って生捕りにしようとし、墜落して海上でもがく荒鷲をイヌが木槌で打つ。日本一の旗のもと、生捕りにされた荒鷲を吊るして凱旋する桃太郎号。地上ではペンギンやアホウドリが万歳を叫ぶ。
作品解説 日本昔話のヒーロー、桃太郎が現代に登場し、鬼ヶ島ならぬ、南極へ凶暴な荒鷲退治に出かける。1931年の満州事変や翌年の上海事変の時期に公開されたこの作品は好評を博し、すぐに続篇『海の桃太郎』(1932年)が作られた。「桃太郎号」はこの時期、日本陸軍により制式採用された中島飛行機製の戦闘機「九一式戦闘機」に似ており、太平洋を飛行するためにガソリン補給が2回必要との設定も現実感を帯びている。村田の当時の言葉に「大鷲退治と出かけたのは空の王者で威張つてるアメリカあたりを当込んだ気味もあります」(『活映』1933年5月号)とあり、具体的には1931年にアメリカの飛行家チャールズ・リンドバーグが北太平洋横断に成功し、途中、日本に立ち寄ったことが念頭にあったと思われる。なお、岡本昌雄の評伝「村田安司と漫画映画(終)」(『映画テレビ技術』1992年8月号)の「村田安司・年譜/作品目録」の補足説明(48頁)によると、無声版とは別に日本ビクター・オーケストラによる伴奏版も製作された。
製作会社 横浜シネマ商会*
配給会社 35mm版:岡本洋行(関東)*、奥商会(関西)*
配給年月日
クレジット 監督 漫画:村田安司
クレジット スタッフ、キャスト等 監修:青地忠三
字幕採録 T1「漫画 空の桃太郎 全一巻」、T2「監修…青地忠三 漫画…村田安司」、T3「大体お話はわかりました。あなた方を苦める其の荒鷲、きっと私が退治してあげます」、T4 「然し、あなた方の島まではこゝから約一万キロメートル、どうしても途中二回、ガソリンを積みたさねばならぬが……」、T5「其事も心得て居りますので途中に御待ちしてガソリンを用意する事に手筈をしました」、T6「よろしい、すぐに出發の用意を致しませう」、T7「鬼ヶ島以来久し振りの遠征だなあ」、T8「『全くだ、腕が唸る唸る」、T9「出陣」、T10「第一ガソリン補給所」、T11「まだ見えないかね」、T12「バンザーイ」、T13「第二ガソリン補給所」、T14「『おい君、沈んじや 困るよ!」、T15「おい等、腹が減つてきた」、T16「もうしばらくだ、我慢してくれ」、T17「打つな打つな 生捕りだ!」、T18「桃太郎君 萬歳!!」、T19「空の桃太郎 終」。
検閲番号等 内務省検閲番号:F12399(1931年11月5日)
参考文献 ・「新作教育映畫紹介 空の桃太郎」『映畫教育』1931年11月号・第45輯、37頁(写真あり)。
・吉井主計「昭和七年三月 學校巡回映畫 解説資料 空の桃太郎」『映畫教育』1932年3月号・第49輯、36頁。
・村田安司「昭和七年度優秀教育フイルム推薦 學校巡回活映聯盟(大毎所管) 空の桃太郎について」『活映』1933年5月号・第63輯、31頁(写真あり)。
フィルム映写速度 20fps
フィルム履歴 横須賀市寄贈35mmナイトレートポジ→NFC所蔵35mmインターネガ作製
フィルム完全度 完全
備考 簡易的なデジタル修復
作品情報等の*印は文献等による補足
参考リンク