漫画二つの世界

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映画題名	漫画二つの世界
映画題名ヨミ	マンガフタツノセカイ
英語題名	Two Worlds
製作年月日	1929年
作家名	村田安司
時間（分）	15
サウンド	サイレント
カラーの種類	白黒(染色)
ストーリー	夏、アリの親子が大きな芋虫を運んでいる。昼間から酒を飲んで上機嫌なヒキガエルの爺さんが、アリの勤勉さを冷やかす。キリギリスの青年とチョウのお嬢さんは、レコードを聞き、優雅に食事をしている。その前を芋虫を引きずって通るアリを見て、キリギリスとチョウは嫌な顔をして馬鹿にする。家に帰り一服しているアリの親子。アリの娘が張物（着物の洗濯）に精を出している一方で、キリギリスはバンジョーを奏で、それに合わせてチョウはテーブルの上で踊っている。その様子を見てうらやんだアリの子どもに、父親アリは「夏歌うものは冬泣く」の譬えがあると戒める。夏が過ぎ、秋が来て、木枯しの吹く冬になる。暖かい家の中で一家団らんのアリの家族。男の子のアリは腕相撲で父親アリを負かす。ボロボロの服に杖をついたキリギリスが、窓越しに物乞いをする。アリの娘は、チョウのお嬢さんも危篤だという。ヒキガエルの爺さんも病気が悪化したようだ。父親アリは再び「夏歌うものは冬泣く」の譬えを言い聞かせる。
作品解説	横浜シネマ商会から作品を発表していた村田安司の最初の文部省映画。村田は前作『蛙は蛙』(1929年)でもイソップ寓話の「蛙と牛」を題材としていたが、この作品もイソップ寓話の「アリとキリギリス」に材をとっている。文部省の解説資料には「勤勉な蟻と安逸放縦に暮す蛙、螽蟖(きりぎりす)、蝶等の二つの生活を対照して、『夏歌ふものは冬泣く』という勤倹力行の訓へを興味深く説示した清新なる教訓漫画である」と書かれている。安逸に暮すキリギリスたちが西洋風な風俗をまとっているのとは対照的に、アリの一家は純日本的な暮らしをしている。また、昆虫の手脚や触覚など細かな切り紙によるアニメーション技法には驚くほどの表現力があり(当時の広告文には村田漫画の表現力を「霊腕」と称している)、さらに夏とは対照的に青く染色されたプリントの美しさも十分に堪能できる。文部省映画としては長く頒布された作品で、後にトーキー解説版にもなった。雑誌『映画教育』1929年11月号の「時報」欄には以下のような記事が掲載された。「完成した文部省教化総動員映画いよいよ全国へ配布／予て文部省が作製中であつた教化総動員の映画中、国体観念の涵養に資する『日出づる国』三巻、経済生活の改善に資する『覚めよ国民』二巻、勤倹力行の美風をすゝめる線画『二つの世界』」一巻の三種が完成したので、十月七日文相官邸で試写の上、八日宮内省に献上して天覧に供し、なほ同日閣僚も試写観覧したが、文部省では予ての計画通り、これを各道府県および六大都市に無料頒布して、教化総動員に利用せしむることにした」(29頁)。
製作会社	文部省
配給会社
配給年月日
クレジット　監督	漫画：村田安司
クレジット　スタッフ、キャスト等	監修：青地忠三
字幕採録	T1「漫画二つの世界全一卷」、T2「文部省製作」、T3「監修・青地忠三漫画・村田安司」、T4「大した御馳走を見付けたなァ！」、T5「半分置いて行ったらどうだい」、T6「そうはいかない。だが土橋の向ふに芋虫がも一つ轉がって居たよ。それをとって來たらどうだ」、T7「そうか日が暮れたら出かけやう」、T8「オヽ臭い。何て厭なものを持って行くんでせう」、T9「オイ早く通ってくれ。食事の前を困るじやないか」、T10「然し、この暑いのによく働くわね！」、T11「損な性分さ」、T12「娘は？」、T13「けふは朝から張物で一所懸命ですよ」。T14「あのハイカラさん達はほんとに氣樂な身分だね」、T15「毎日朝から晩まで浮かれ通しだ」、T16「おい等も一日位あんな暮しがして見たいな」、T17「馬鹿なッ！夏歌ふものは冬泣くって譬へがある……今に解るよ」、T18「夏が過ぎ秋が来る」、T19「やがて木枯しが訪れる」、T20「年はとっても、まだお前にや負けぬぞッ！」、T21「可哀そうにお蝶さんも秋過ぎからドッと床について昨今がむづかしいそうですよ」、T22「ほんとに氣の毒だねあの人も今の様子ぢや此の冬が越せそうにもないね」、T23「ヒキ六の爺さんも中風が出て動けないそうだ」、T24「どうだ忰、夏うたふものは冬泣くといふ事がよく解ったらう」、T24「先を考へないものの行末は皆そうしたもんだ。お互によそ事と思っちやならぬぞ」、T25「二つの世界終」。
検閲番号等	内務省検閲番号：D14246(1929年11月26日)
参考文献	・「新作映畫解説二つの世界」『文部省教育映畫時報 2』文部省社会教育局、1929年、23-28頁(写真あり)。
フィルム映写速度	18fps
フィルム履歴	岩手大学寄贈35mmナイトレートポジ
フィルム完全度	完全　※配信している動画はメインタイトル欠
備考
参考リンク