あひるの子
映画題名 | あひるの子 |
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映画題名ヨミ | アヒルノコ |
英語題名 | The Ugly Duckling |
製作年月日 | 1932年 |
作家名 | 村田安司 |
時間(分) | 15 |
サウンド | サイレント |
カラーの種類 | 白黒 |
ストーリー | 4、5日前に生まれたアヒルの4羽の子どもが、もう元気よく池を泳いでいる。アヒルの母さんは最後の一番大きな卵を温めている。おしゃべりのおばあさんアヒルは、七面鳥の卵ではないかと心配する。それから3日たってやっとかえったヒナは、首が長く変な声で鳴く。末っ子のアヒルは泳ぎの訓練では元気なところを見せ、母親は安心する。しかし、ほかの子と姿が違っているため、末っ子のアヒルは、イヌからも馬鹿にされ、カエルからもいたずらをされる。仲間のアヒルからも嫌われ、4人の兄からものけ者にされる。末っ子のアヒルは、ある夜、母と兄のもとを去る。秋になり、ひとり旅を続けるアヒルの子は、雁の仲間に入れてくれるように頼むが、猟師の発砲に合い、かろうじて猟犬から逃れることができる。冬になり、雪の降る中、湖畔の別荘近くの小屋に、アヒルの子が寝ている。かたわらには、黒猫と牝鶏が心配そうに見守っている。気が付いたアヒルの子は、黒猫のおじさんから、イタチに襲われているところを助けられたことを聞く。牝鶏はアヒルの子の姿がアヒルに見えないと言うが、黒猫はいつまでもここで暮らしていいと言う。また春が来て夏になる。別荘の子どもたちがきれいな白鳥を見つける。黒猫が雌鶏に、アヒルの子が白鳥になって、育てた甲斐があると言う。若い白鳥は楽しい安らかな日を過ごしているが、夕暮れが近づく頃、やさしいアヒルの母さんのことを思い出すのだった。 |
作品解説 | 横浜シネマ商会が製作した教育映画シリーズ「アテナ・ライブラリー」第62編。現行のサイレント版の後に、「吉阪式レコーディング」と銘打たれたトーキー版も発売された。35mm版のオリジナルの長さは、サイレント版が1巻323m、トーキー版が2巻535m。また、35mm版と合せて小西六本店から16mmサクラグラフ版も発売された。当時の広告には次のように宣伝されている。「アンデルセン名話の一つが、此処にいみじくも優れた漫画となつて現はれた。可憐にして飄逸なる『あひる』の世界に、自然に泌み出づる人情味と芸術境、流石に巨匠の作、名人の筆にのみ許された天地である」(『映畫教育』1932年10月号)。『日本アニメーション映画史』(山口且訓、渡辺泰著、有文社、1977年、206頁)によると、トーキー版には前後にアンデルセンの童話を読む少女の実写が加えられているとあり、この版にも、後半、白鳥を見る別荘の少女と少年の実写が挿入されている。原作では、周囲からいじめられ、自分でも醜いと思っていたアヒルの子が、美しい白鳥になった喜びで終るのに対して、青地忠三の翻案は、静かに湖畔を泳ぐ白鳥が優しいアヒルの母さんを想い出すという「人情味」で終っている。 |
製作会社 | 横浜シネマ商会* |
配給会社 | 35mm版:岡本洋行(関東)*、奥商会(関西)* 16mm版:小西六本店* |
配給年月日 | 1932年9月 |
クレジット 監督 | 作画:村田安司 |
クレジット スタッフ、キャスト等 | 脚色:青地忠三 |
字幕採録 | T1「脚色 青地忠三/作画 村田安司」、T2「四五日前に生れたばかりで、もうあんなに騒ぎ廻ってゐる」、T3「おっ母さんはどうしたい?」、T4「まだもう一つ卵がかへらないの」、T5「それだけが五日もたつてまだかへらない といふのはおかしいね」、T6「私も若い時、人にだまされて、七面鳥の卵をかへした事があるが若しやお前さんも……?」、T7「そんな事はありますまい、何にしても、もう少し辛棒してみませう」、T8「それから三日後」、T9「泳ぎの試驗」、T10「七面鳥の子じやなくってよかった。ぶかっこうでも、大きくって丈夫なのが何よりだ」、T11「末っ子のあひるは形がおかしいので、近所のものから馬鹿にせられました。」、T12「どう見ても、まづいかつこうだな」、T13「つまり、あひるの出来そこないだね」、T14「あひる仲間のつら汚しだよ、あんな子は……」、T15「ほんとに、見る度に腹が立ちますよ」、T16「世間ばかりか小さい兄たちも、この末っ子をのけ者にするやうになりました。、T17「ある夜」、T18「秋が来た」、T19「君はあひるの子だらう。僕たちのやうに年中、空の旅をする仲間には入れないよ」、T20「冬が来た」、T21「どう、氣分は?」、T22「もう大丈夫だ、若いものは直ぐ元氣が出る」、T23「あの時、わしに見つかったのは、ほんとに、お前さんの運がよかったんだ。」、T24「助けて!」、T25「助けて!」、T26「ほんとに運がよかつた。私の赤ん坊も二羽まであのイタチにとられた事がある。」、T27「お前さんは、あひるの子だとおいひだが、どうも私にはそうは思へないよ」、T28「首の様子、羽根の形、どうしてもあひるじやないよ」、T29「何だっていゝや、いつ迠もこゝでくらすがいゝ」、T30「春が来た」、T31「やがて又晴やかな夏がかへつて来た」、T32「別莊の人たちもまたかへつてきた」、T33「御覽、きれいな白鳥がゐるよ」、T34「きれいな鳥ね、いつの間にこゝへ来たのでせう」、T35「冬の中に、何處からか飛んで来たんだらう」、T36「急いで餌をとつて来ませう」、T37「あのぶかつこうなひよつ子が、まさか白鳥にならうとは思はなかつたね」、T38「だから私がいったじやないか、どうしたってあひるの子じやないと」、T39「あんなきれいな鳥を育て上げて おい等も何だか鼻が高いや」、T40「若い白鳥には樂しい安らかな日がいつ迠もつづきました」、T41「然し夕ぐれが静かに近づく頃は、」、T42「あのわびしい堀割の里とやさしいあひるのお母さんをたびたび思ひ出しました。」、T43「あひるの子 終」。 |
検閲番号等 | [参考]内務省検閲番号 サイレント版:G13667(1932年9月13日)、トーキー版:G14645(1932年10月12日) |
参考文献 | ・「Graphic Section あひるの子」『映畫教育』1932年11月号・第57輯、口絵頁(写真あり)。 |
フィルム映写速度 | 18fps |
フィルム履歴 | プラネット映画資料図書館所蔵16mmポジ→NFC所蔵35mmインターネガ作製 |
フィルム完全度 | メインタイトル欠 |
備考 | 作品情報等の*印は文献等による補足 |
参考リンク |
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