汽車の發達

映画題名 汽車の發達
映画題名ヨミ キシャノハッタツ
英語題名 The Development of the Train
製作年月日 1932年
作家名 村田安司
時間(分) 14
サウンド サイレント
カラーの種類 白黒
ストーリー 17世紀、イタリア人のジョヴァンニ・ブランカが蒸気の力で臼をつく仕組みを考案。18世紀、イギリス人のトーマス・ニューコメンが最初の蒸気機関を造り、鉱山などで水を汲み上げる。その50年後、フランス人のニコラ=ジョセフ・キュニョーが荷車に蒸気機関を取り付けた車を発明。その後、40年たってイギリス人のリチャード・トレビシックがレールの上を走る汽車を造る。そしてイギリス人のジョージ・スチーブンソンによって造られた蒸気機関車の登場となる。今から100年前のことである。(以上をアニメーションで図解) 先年、イギリス鉄道百年祭で実演されたスチーブンソンの蒸気機関車の実写映像。明治5(1872)年10月、日本の鉄道が開業。当時、イギリスで製作された第1号機関車が今も保存されている。現在の日本の蒸気機関車の製造工場。電気機関車やガソリン気動車(ディーゼルカー)、電車の映像。客車も4輪車からボギー車に改良(ボギー車の構造をアニメーションで図示)。寝台車、食堂車、展望車の映像。全国に延びる鉄道網。驀進するC51。
作品解説 戦前の尋常小学読本巻九にある「汽車の発達」に準拠した教材映画。アニメーションと実写映像を併用して児童の理解を助けた。構成・編集を担当した青地忠三によれば、読本「汽車の発達」を読んでその抑揚に興味を引かれたことが発端で、「鉄道省所蔵の英国鉄道百年祭記録映画中からスチーブンソン時代の模擬実演のシーンを分与して貰つたこと、デイヴライ学術映画中から米国最古の汽車運転の実況シーンを得たことが本フイルムを価値づけたこと多大です」(『活映』1933年5月号)としている。「デイヴライ学術映画」とは青地が関係していた岡本洋行が輸入していたアメリカの映写機メーカーのデブライが提供していた教育映画のこと。
製作会社 横浜シネマ商会*
配給会社 35mm版:岡本洋行(関東)*、奥商会(関西)* 16mm版:小西六本店*
配給年月日 1932年
クレジット 監督 作画:村田安司*
クレジット スタッフ、キャスト等 指導:全日本活映教育研究会* 編集:青地忠三* 撮影:飯田光治*
字幕採録 T1「本映画は 尋常小學校讀本卷九『汽車の發達』に據りて編む。」、T2「人が蒸氣の力を知り、之を利用しやうと考へたのは古いことであります。」、T3「今から凡そ三百年前、イタリーのブランカといふ人が 蒸氣の力で臼をつかせる工夫をしました。」、T4「それから約百年たって始めて蒸氣機關らしいものがイギリス人ニューコメンによって作られ、おもに炭山などで水を汲上げるのに使はれました。」、T5「其後五十年ほどたってフランスのキュニョーといふ人がこれを利用して始めて汽車を作りました。」、T6「これは荷車に蒸氣機關を取附けただけのもので一時間二マイル位の早さで普通の道路を走るのでした。」、T7「其後四十年ばかりたって、イギリスのトレビシックといふ人が之れに種々の改良を加へた上に、始めてレールの上を走らせるやうにしました。」、T8「間もなくイギリス人スチーブンソンによって、遙かにすぐれたものが研究せられ、遂に 一般の旅客や貨物を運ぶ程度に進歩しました。これが今から百餘年前のことであります」、T9「先年イギリスで鐵道百年祭が催された時、スチーブンソンの汽車が始めて運轉した當時の有樣を實演しました。」、T10「スチーブンソンの汽車は其後幾度も改良を加へられ、數年後にはアメリカでもこれを用ひる事になりました。」、T11「その當時の汽車」、T12「我國では明治五年十月に始めて汽車が運轉しました。其の當時用ひられた第一号機關車はイギリスで製作せられたもので今尚ほ大切に保存せられてゐます。」、T13「今では我國の工場に於て進歩した大きな機關車がどしどし出來上るやうになりました。」、T14「最近では電氣機關車も次第に多く使はれてまゐりました。」、T15「處によってはガソリン機關を利用した氣動車も用ひられて居ります。」、T16「また電車も澤山使用されてゐます。」、T17「客車も初めの頃は、小さい四輪車が用ひられました。」、T18「これは車軸が、車體に固定して居ますから、レールの曲りの急な處では脱線します。」、T19「今では凡て大きなボギー車が用ひられます。」、T20「ボギー車では、車軸が車體に固定されてゐません。」、T21「故に、レールの曲りの處でも脱線しません。」、T22「また客車には、いろいろ便利な設備が出來て居ります。」、T23「展望車」、T24「昔は東京から京都まで十日の旅、今は急行列車で僅に七時間で行かれます。」、T25「明治五年始めて東京横濱間約二十粁に鐵道が敷かれて以來………。」、T26「今日までおよそ六十年間に我國の鐵道は延長約二万五千粁に達しました。」、T27「一國の文明は交通機關の發達程度によってわかると云はれます。我國の鐵道も今後まだまだ進歩するでありませう。」、T28「汽車の發達 終」。
検閲番号等
参考文献 ・「新作教育フイルム紹介 汽車の發達」『映畫教育』1932年1月号・第47輯、38頁(写真あり)。
・青地忠三「昭和七年度優秀教育フイルム推薦 學校巡回活映聯盟(大毎所管) 汽車の發達について」『活映』1933年5月号・第63輯、30頁(写真あり)。
フィルム映写速度 18fps
フィルム履歴 プラネット映画資料図書館所蔵16mmポジ→NFC所蔵35mmインターネガ作製
フィルム完全度 メインタイトル欠
クレジット欠
備考 作品情報等の*印は文献等による補足
参考リンク 書籍<国立国会図書館デジタルコレクション / 修正尋常小学読本教授細案 巻9>

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