海の桃太郎

映画題名 海の桃太郎
映画題名ヨミ ウミノモモタロウ
英語題名 Momotaro under the Sea
製作年月日 1932年
作家名 村田安司
時間(分) 9
サウンド サイレント
カラーの種類 白黒
ストーリー 海中では、クラゲやヤドカリ、エビや多くの魚たちが、慌てて逃げ出す。平和な昼寝の夢を破られたタコが出て来てフグに尋ねると、噂の大鮫が出たとのこと。フグは大鮫の恐ろしさを、大きなクジラも咬みつかれ、逃げ足の速いイルカもやられたと説明する。トビウオはいいが、腹の膨らむフグは、焦れば焦るほど腹が大きくなって泳げないと当惑する。フグはタコの穴に入れてくれるように頼んでいると、サメの襲来。慌てたタコは、フグのお腹の栓を抜いて、無事に穴の中に隠すことができる。龍宮城では連日、御前会議が開かれ、桃太郎に助けを乞うことになる。龍宮無線電信局から救援の報が桃太郎のもとに届き、桃太郎は水が不得手なキジだけを残して、イヌとサルを同道し、潜水艦ですぐに出陣する。海底に潜り、潜水艦の碇(いかり)が下され、タコとフグが隠れている岩をひっくり返す。驚くタコとフグの前に、綱を伝ってサルが下りてきて、桃太郎が大鮫退治に来たことを伝える。タコはサルにサメに棲家を教える。タコは桃太郎が来たことを魚たちに知らせ、皆大喜びする。桃太郎は潜望鏡を覗き、珊瑚でできた龍宮御用林の奥にサメの棲家を見つけ、魚雷を発射。サメと潜水艦の激しい戦闘が始まる。サメは潜水艦の船底を喰いちぎるが、海中に飛び出した桃太郎は刀でサメの腹を斬り裂く。海底に沈んだサメの腹の上で桃太郎とサルとイヌは万歳を叫ぶ。桃太郎のサメ退治は無線で知らされ、タヌキが号外を配る。号外を手にしたお爺さんとお婆さん、キジも喜びに顔がほころぶ。桃太郎とサルとイヌの胸には龍宮城から授与された勲章が光っている。
作品解説 『空の桃太郎』(1931年)の好評を受けて、潜水艦による大鮫退治を描く『海の桃太郎』が作られた。水が不得手なキジが日本に居残りという設定が面白い。オリジナルは35mm版で303m 13分(20fps)。現存プリントは弁士や説明者が語り易くするなど、何らかの理由で、せりふや説明などの中間字幕が削除されたもの。「字幕採録」欄では、うっすらと数齣分残存している字幕画面や、『映画教育』1932年4月号など文献を参考に補ったものを載せた。
製作会社 横浜シネマ商会*
配給会社 35mm版:岡本洋行(関東)*、奥商会(関西)*
配給年月日
クレジット 監督 漫画:村田安司
クレジット スタッフ、キャスト等 監修:青地忠三
字幕採録 T1「海の桃太郎 全一卷」、T2「漫画 村田安司」、T3「監修 青地忠三」、【T4「昼寝の夢をすっかりさまされた。はて何の騒ぎかしら……」、T5「どうした、どうした」】、T6「評[うわ]さの大鮫がとうとう出て来たわい。見あたり次第に何でも咬み殺す恐ろしい奴じゃ……」、T7「あの大きな鯨でさえ横腹に咬みつかれて 命からがら逃げていった」、T8「逃げ足のはやい いるかでも大分やられたらしい」、T9「そこへ行くと飛魚なんかは結構だが……」、T10「わしは あせればあせる程、腹が大きくなって 思ふ様に泳げない」、【T11「どうかお助けじゃ、お前さんの家へしばらく入れて下さい」、T12「来たぞ、来たぞ」、T13「大鮫の出現で龍宮城も大騒ぎ、毎日のように御前会議が開かれる」】、T14「いろいろと相談の結果、やはり、日本の桃太郎さんに助けを乞ふ事になりました。」、T15「龍宮城からは無線電信を以て救援方を交渉しました。」、T16「龍宮からの頼みを快く引受けた桃太郎君は 水に不得手な雉子だけを殘して、時を移さず出陣しました。」、【T17「何だろう?」、T18「碇にちがいないが、どこから落ちて来たのかしら?」、T19「何も恐れることはない、わしは日本一の桃太郎の身内のものだが、龍宮から頼まれて大鮫退治にやって来たのだ」、T20「その大鮫といふのはどこにゐるか教へて貰ひたい」、T21「これからまだ百カイリばかり向ふに珊瑚の林が御座います。その奥に大きな岩穴がありますが、それが彼奴の棲家ときいてをります」、T22「お互にもう大安心だよ何しろ日本一の桃太郎さんが来て下さったのだから……」】、T23「龍宮 御料林 無用の者 入る可からず」、【T24「号外々々 龍宮の大鮫退治、桃太郎の大手柄 号外々々……」、T25「大鮫退治の偉功により 桃太郎君に 龍宮最高の勲章授与 龍宮発本社特電 久しく南海を荒し廻りたるかの兇悪無比の大鮫は遂に大日本桃太郎により退治せられた。」】。※【 】内は『映画教育』1932年4月号など文献を参考に補った。
検閲番号等 内務省検閲番号:G8755(1932年6月10 日)
参考文献 ・「新作教育フイルム紹介 海の桃太郎」『映畫教育』1932年2月号・第48輯、36-37頁(写真あり)。
・小野田茂「昭和七年四月 學校巡回映畫 解説資料 海の桃太郎」『映畫教育』1932年4月号・第50輯、44頁。
フィルム映写速度 20fps
フィルム履歴 個人寄贈35mmナイトレートポジ→NFC所蔵35mmインターネガ作製
フィルム完全度 インタータイトル欠
エンドタイトル欠
備考 簡易的なデジタル修復
作品情報等の*印は文献等による補足
参考リンク