線畫 つぼ

映画題名 線畫 つぼ
映画題名ヨミ センガツボ
英語題名 The Pot
製作年月日 1925年
作家名 山本早苗
時間(分) 17
サウンド サイレント
カラーの種類 白黒
ストーリー 親孝行な息子は遊びにも行かず、父親を喜ばせるために毎日、魚獲りに精を出している。ある日、網に壺が引っ掛かり、開けて見ると中から鬼神が現れる。出てきた鬼神は漁師の若者を食い殺そうとするが、若者はお前が壺に入れる訳がないと言うと、鬼神は悔しがって壺に入る。出してくれと懇願する鬼神に、若者は「獅子と狐」の話を聞かせる。キツネは狡猾な智恵で、ライオンのおこぼれをあずかり、ライオンをだまして家の材料を横取りした。怒ったライオンのため、食べ物にありつけないキツネは、猟人にライオンの居場所を教え殺させる。恐いものがいなくなって外に出たキツネは、今度はワニに喰われてしまう。この話を聞いて改心した鬼神は、お礼に金貨の詰まった壺を若者に与える。
作品解説 文部省が製作を委託した最初のアニメーション映画。実際の製作プロダクションは、山本早苗の山本漫画製作所。物語は『千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)』の「漁師と鬼神との物語」を主軸に、マキャヴェッリの『君主論』にある「獅子と狐」の喩が挿入された。線描を主体とした緻密な背景と人物造形に加え、人物の会話には吹き出しや切り文字を用いるなど、興味深い試みがなされている。
製作会社 文部省
配給会社 文部省
配給年月日
クレジット 監督 ゑがく:山本早苗
クレジット スタッフ、キャスト等
字幕採録 T1「線畫 つぼ 文部省製作」、T2「山本早苗ゑがく」、T3「或る海岸に貧しい漁師の親子が住んでゐました」、T4「お父さんのお好きな魚を澤山捕つて來ます」、T5「さう毎日仕事ばかりしないで今日は遊びに行かないかね」、T6「折角だが今日は止さう」、T7「親孝行な息子は毎日かうして父親を喜ばす爲めに魚を捕りに行くのでした」、T8「天氣はよい々々風もない おいしい魚をたくさんとつて 急いでうちへ持つて行き 早く父さん喜ばさう」、T9「おや何だらう 早く陸に上つて開けて見よう」、T10「しめた、さあ俺の天下だぞ・・まづきさまから殺すんだ」、T11「いつたいお前はどこから來たんだ」、T12「この壺の中から來たんだ」、T13「お前のやうな者が這入れるもんか ほんとうにゐたものなら這入つて見せろ」、T14「ようし」、T15「サァ海へなげこむぞ」、T16「許してくれ もう悪い心はおこさないから」、T17「まてお前が改心するやう一つ話をしてやらう」、T18「昔々ある深い森の中に獅子と狐とが住んでゐた」、T19「獅子はその鋭い眼と爪とで獲物をとらへ 狐はそのおあまりを貰つて生きてゐた」、T20「お腹が空いた またおあまりを頂戴して來よう」、T21「獅子さん何か殘り物はありませんか」、T22「これから行つて捕つて來てやろう」、T23「キヤツ々々々ばかやーいキヤツ々々々」、T24「狐は食べ物にありつく事ができた」、T25「喰ふ事には困らなくなつたが此度は立派な家を造らなくてはならない」、T26「そうだあれを取つて來よう」、T27「獅子さん只今は御馳走様でした」、T28「あなたはなか々々強い だが走ることはあれにはかなはないでせう」、T29「何ツ」、T30「あれを御覧なさい」、T31「あんな奴に負けてたまるものか」、T32「この時森へ獵人が來ました」、T33「獅子が歸つたら怒つて殺しに來るだらう」、T34「大変だ獵人がやつて來た」、T35「私を助けて下さい そのかはり獅子の居る所をおしえて上げます」、T36「それぢァ案内しろ」、T37「狐の奴 巳をだましたンだな」、T38「これで恐ろしいものはなくなつた」、T39「喰物をさがさなけれャならない」、T40「これはうか々々と外へ出られないぞ」、T41「かうして幾日か過ぎた」、T42「このまゝでは死ぬばかりだ」、T43「どうだわかつたか これでもわからなけれァ海へ投げこむばかりだ」、T44「よくわかりました あなたの御恩は決して忘れません」、T45「この御恩返しによい物を差し上げます 私についていらつしやい」、T46「こゝで網を打つて御覧なさい」、T47「家へ歸つてから壺をお開けなさい」、T48「ごきげんよう」、T49「私がお供しませう」、T50「お父さん 今日は魚はとれませんでした そのかはりこの壺を貰つて來ました」、T51「情は人の爲めならず」、T52「終」。
検閲番号等
参考文献
フィルム映写速度 16fps
フィルム履歴 文部省所蔵35mmナイトレートオリジナルネガ→NFC所蔵35mmマスターポジ→35mmデュープネガ→35mmポジ作製
フィルム完全度 完全
備考
参考リンク 書籍<国立国会図書館デジタルコレクション / 文部省製作映画>